法律事務所オーセンスがお伝えする法律情報サイト運営会社情報

menu

犯罪だけども罪に問われない?親告罪ってどんな犯罪?

1126

文字の大きさを変更

親告罪というのは特定の罪名ではなく、罪の種類を言い表した言葉です。

親告罪に分類される罪については、基本的に被害を受けた側の訴え(告訴)がなければ、刑事裁判を行うことができません。
つまり誰の目にも犯罪行為が行われたことが明らかであったとしても、検察が勝手に公訴を提起することはできないのです。

なぜ、このような制度があるのでしょうか?また、親告罪にマイナス面はないのでしょうか?

親告罪とは何か

傷害や窃盗などと異なり、親告罪では被害を受けた側が告訴しなければ、裁判を行うことができません。
つまり検察官が単独で公訴提起することができないのです。

主な親告罪を列記してみると、おおよそ以下の通りです。
  • 強制わいせつ罪
  • 強姦罪
  • 過失傷害罪
  • 名誉毀損罪
  • 侮辱罪
  • 私用文書毀棄罪
  • 器物損壊罪
  • 信書開封罪

他にも多々ありますが、主だったものは以上の通りでしょうか。

また一般には親告罪ではないけれども、犯人と被害者が親族関係にあるような場合に限り、被害者の告訴が公訴条件となるものもあります。

たとえば以下のようなものです。
  • 窃盗罪
  • 不動産侵奪罪
  • 詐欺罪
  • 準詐欺罪
  • 恐喝罪
  • 背任罪
  • 横領罪
  • 業務上横領
  • 遺失物横領

通常であれば、発覚した時点で罪に問われるものばかりですが、これらの罪名であっても、それが親族間で発生したものであった場合には、親告罪と同様の扱いになります。

親告罪があるのはなぜなのか

何であれ罪を犯したならば、しかるべき罰は受けるべきだ…。これが一般的な「罪と罰」の概念でしょう。

ですが犯した罪の内容によってはすべてを起訴し、裁判を行い、刑を下すことが適当ではない場合もあります。

たとえば強制わいせつや強姦は、被害者にとっては非常に屈辱的なものです。
ですが公訴を提起し、公の裁判の場でその一部始終を明らかにすることは、被害者に二重の苦しみを与えることにもなりかねません。

また過失傷害や名誉毀損、侮辱、器物損壊などは、当事者同士の間で謝罪なり弁済なりを行い双方が納得すれば、それ以上社会的な罰を与える必要のない軽微な犯罪ともいえます。
そのためこれらの犯罪では、被害者の意思を尊重する意味合いで親告罪とされているのです。

窃盗や詐欺、恐喝、横領などは決して「軽微な犯罪」とは言えませんが、それが親族間で起こったものならば、警察や司法が介入せずに「内々で話をつける」ほうが適切だともいえます。そのために親告罪とされているのです。

ちなみに親告罪の場合であっても、示談が成立したからといって全く告訴されることがないというわけではありません。
けれども、すでに告訴されていれば告訴を取り消してもらうこともできますし、たとえ取り消してもらえなかった場合でも、量刑の軽減には非常に有利な材料となります。

親告罪という制度のマイナス面とは

親告罪という制度は少々「歯切れが悪い」ものに思われるかもしれません。
法を破り、犯罪者を見逃すことにもなるのですから、「法の正義」などの言葉で表される厳格な法律のイメージにはそぐわないものでしょう。

もちろん、被害者には民事上の加害者に対する損害賠償請求権があります。
ですから金銭的な被害はもちろん、精神的被害への慰謝料も請求することができますが、それはあくまで「賠償」であって、社会的な罰ではありません。

もしも被害者が告訴しないとなると、加害者が裁かれることはないのです。
そのため加害者の罪の意識が希薄になってしまうことも考えられます。
たとえそれが犯罪行為であったとしても、罰を科されることがなければ歯止めがきかず、また同じことを繰り返すことにもなりかねません。

被害者感情への配慮や、家族間への法の不介入という視点から設けられている親告罪ですが、その視点を少し変えると、こうしたマイナスの側面も見えてくるのです。

強制わいせつや強姦の場合、被害者が告訴に踏み切るのはかなり勇気がいることです。
被害に遭いながらも泣き寝入りせざるをえない被害者たちは、かなりの数にのぼるでしょう。
また、親族間での恐喝や横領などは「身内のしたことだから」と、つい甘い目で見てしまいがちです。

告訴をするかどうか。その判断は被害者自身しかできません。

弁護士は法の専門家として、これまでの経験を踏まえたさまざまなアドバイスをすることができます。
迷っているのであれば、まずは相談してみることをおすすめします。

MENU