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相続放棄後に莫大な財産が…相続放棄の撤回は可能か

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亡くなった親の遺産に負債が多く、相続放棄の手続きを行ったところ、後になって隠し財産が見つかった…。
まるでドラマか映画のような話ですが、こうした例は現実にあり得ます。

「隠し財産」といっても、その額が小さければさして問題にはならないかもしれません。
ですが数百万単位になってくると、放置しておくわけにもいかなくなります。

すでに完了してしまった相続放棄の手続きを撤回することはできるのでしょうか?

すでに完了した相続放棄、取り消しはできる?

借金はともかく、ある程度まとまった財産がある場合には、たいてい配偶者や子どもにそのことを告げていることが多いものです。ですからこのようなケースはあまり多くはありません。

しかし、生前、不動産の共同所有者になっていたり、数百万単位の債権を持っていて、本人の死を聞いて負債者が返済に訪れたりと、亡くなったあとになって隠れた財産があることが判った、という例は実際にあります。

相続放棄をしていた場合、これらの財産は当然のように相続することができません。
では、相続放棄を取り消すことはできないのでしょうか?

結論から言いますと、相続放棄は一度裁判所が受理してしまうと、一部の例外を除いて取り消すことができません。

相続放棄には「相続の開始から3ヵ月以内」という期限がありますが、この期限内であっても、取り消しは認められないのです。

相続放棄の取り消しを安易に認めてしまうと、債権者や他の相続人への影響が大きく、特に相続人の人数が多い場合には遺産分割の手続きにも大きな支障が出てしまいます。
そうしたことを避けるため、相続放棄の撤回・取り消しは原則として認められていないのです。

相続放棄は取り消すことのできない手続きだからこそ、慎重に遺産を調べ、熟慮の上で決定することが大切ということになります。

取り消しが認められる例外的な場合とは

相続放棄の取消しは「原則として」認められない、とお話ししましたが、「例外的に」認められる場合もあります。

それにはいくつかのケースがあるのですが、主なところでは、第三者に騙された場合です。

あなたの親族が亡くなり、あなたが相続人となったとき、誰かが「預貯金よりも大きな借金があるから、相続放棄したほうがいい」と、勧めたとしましょう。
あなたはその話を信じて相続放棄をしたものの「借金がある」というのが実は真っ赤な嘘だった…というような場合です。

もうひとつは、誰かがあなたに対して相続放棄を強要し、抵抗できずに書類にサインしてしまった…というケースです。

このような行為は相続人にあまりにもひどい結果になるので、相続放棄の取り消しは認められています。
その他、未成年者が法廷代理人の同意なく手続きを行った場合や、成年被後見人が手続きした場合なども、相続放棄の取り消しが認められます。

このような場合には、家庭裁判所に「相続放棄の取り消しの申述」を行います。
この申し立てが受理されると、相続放棄の効力が失われます。

相続における「重大な錯誤」とは

非常に例外的ではありますが「重大な錯誤」を理由として、相続放棄を無効にすることができる可能性があります。

重大な錯誤とは文字通り「たいへんな思い違い」ということで、たとえば「騙された」という例なども、他人の嘘を信じて大きな思い違いをしてしまったあげく、する必要のない相続放棄をしてしまった、ということになります。

「負債の方が多い」と思い込んで相続放棄をしたけれども、実はそれが「重大な錯誤」だったので、相続放棄を無効にしたい…という論法です。

ただし、この方法で相続放棄を無効にするのは、現実的には困難です。
相続放棄の際に裁判所へ提出する申述書に、「遺産が負債過多のため、相続を放棄する」など、放棄の理由が明示されていないと難しいでしょう。

「万一、隠し財産が出てきたときのために…」と、このような記載をするのであれば、相続放棄ではなく、初めから「限定承認」の手続きを取っておくべきかもしれません。

限定承認であればプラスになる財産の範囲内でマイナスの負債も相続するということが可能ですので、予想以上に多い借金が後々に発覚した場合に有効です。

相続放棄の取り消しはハードルが高く、必ずしも受理されるとは限りませんし、その手続きも非常に困難です。
まずは弁護士に状況を説明し、そのうえでどうすれば良いか、何ができるかを相談すると良いでしょう。

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